母が若いころに着ていたコート。
裏地がシミだらけで、着る機会がなかったので、思い切って裏地の交換をしてみました。
新婚旅行に着て行ったらしく、なんと50年程前のコート!長持ちするもんだねぇ。
お直し屋さんに出すことことも考えたのですが、数万円かかってしまうので、コートの勉強を兼ねて、裏地の張り替えに挑戦することにしました。
裏地付きのコートなんて作ったことないので、かなり自己流です。
たぶんプロの方からしたら、間違った交換の仕方かもしれませんが、無事着られればOK!という感じで何とかやり終えました。
ますます愛着が湧くし、完成した時はとても達成感があります。
もし処分しようか迷っているなら、処分する前に裏地をはがして、「どれどれ自分でもできるかな?」と研究してみるといいですね。
ちょっと大変だったけど、素人レベルでも何とかなったよ!
工程
付いている裏地をはがす
ただひたすらに縫い目を切って、裏地をはがしていくだけです。リッパーがとても役立ちました。
タグや商品ラベルは、また付け直す為に丁寧にほどきます。
捨てずにきちんと保管しておきましょう。
裏地をはがした後に気付いたことですが、表地や裏地には合印が付いていなかったので、自分で合印を作って付けば良かったと思いました。
特にアームホールの合印がなくて、適当に合印作っちゃった!合印があるか、確認しながらほどくといいかも。
ミシン目はよく切れるリッパーを使うと良さそうです。
今使ってるリッパー、もう切れなくなってて、ちょっとストレスだよね…泣
裏地をパーツに分けてアイロンをかける
前身頃・後ろ身頃・袖の3パーツに切り離し、縫い代を伸ばしてきっちりアイロンをかけます。
ダーツがある場合は、ダーツをほどいて、型紙が取りやすいように展開しましょう。
型紙を取る・裏地を裁断する
アイロンをかけて整えた裏地の下に型紙用の紙を差し込んで、ルレットで出来上がり線をなぞっていきます。
出来上がり線はかなり曲がったりしているので、おかしくない程度に線の補正は必要です。
最後に縫い代を付けて、前身頃・後ろ身頃・袖の3枚の型紙を作ります。
長さが足りなかったらと不安だったので、裾の縫い代は多めに取ったよ。
裏地の裁断ですが、ツルツルすべる布の裁断はロータリーカッターが便利です。
最近はもっぱらロータリーカッター+カッターマットA1サイズのセットで裁断してます。
細かいところはハサミでカットだから、ハサミも使ってね!
身頃をミシンで縫い合わせる
裏地の身頃同志の接ぎにミシンをかけます。
後ろ中心と前身頃と後ろ身頃の接ぎには「きせ」を入れてアイロンをしています。
「きせ」…生地と生地の接ぎ目に入れるゆとり
「きせ」の入れ方がよく分からなかったので、「きれいに縫うための基礎の基礎」水野佳子著 が参考になりました。
表地の見返しに裏地をミシンで縫い付ける
表地の見返しと裏地を接ぐところも、可能な範囲をミシンで縫いました。
今回の表地は、けば立っていて、出来上がり線がなかなか分からなかったので、少し大変でした。
しつけをしてから縫ったものの、つってしまったり、左右で出来上がりの裾の高さが違ったり…。
ここは結構目立つところなので、うまくいくまで何回かやり直したよっ!
首回りをまつる
今の既製品では首回りももちろんミシンだと思うのですが、50年前のコートだからか、首回りは手縫いでした。
手縫いで良かったと少しほっとしていました。
最近の既製品はミシンで縫われていると思います。難しそうだったら、手縫いでもいいと私は思います。
袖を身頃にミシンで付ける
次は袖(裏地)を身頃(裏地)に付ける作業です。
袖にいせがあるので、失敗しないようにしつけしてからミシン縫いをします。
急がば回れ!しつけ大事!
先にも書きましたが、前の裏地をはがす時に合印がないようだったので、自分で適当に「この辺りかなぁ…」と付けました。
袖付けもちょっと手間取りましたが、普通にブラウスやシャツなどの袖付けが出来れば、何とか大丈夫だと思います。
裾をまつる
身頃と袖の裾を手で奥まつりします。
適当にできると思ったのですが、「裏地の余裕を保ちつつ、手でまつるのってどうする?」って困ってしまったので、家にある洋裁本を読みあさりました。
唯一ちょこっと載っていたのが、「ジャケットの縫い方の基礎(八角節子著)」という本でした。
持ってて良かった~!洋裁本は宝であります!
タグを付ける
取っておいたタグをキレイに付け直して、フィニッシュ!!
他に品質表示タグもあったら、付けて直しておきましょう。
ブランドタグがあると、ちゃんとした感が出るよね~
完成!!!
ポイント
裏地をはずす前にどう付いているか観察・記録する
- スマホで裏地のあらゆるところの写真を撮る
- どこがミシン縫いで手縫いかを記録する
- 裏地をはがす前に出来上がりラインをしつけ糸で縫う
私は裏地がどのように付いているかをスマホで写真を何枚も撮りました。
よく見て覚えても、絶対に細かい位置や状態は忘れてしまいます。
さらに一度ほどいてしまったら、どうやって付いていたか分からなくなるので、必須だと思います。
前の状態と同じに仕上げたかったので、どこがミシン縫いで手縫いかをざっと記録しました。
リメイクに限らず、洋裁やってる時もちょこちょこメモは取るようにしてます。
必ず忘れるからねっ!
また、裏地をはずす前に、表地に裏地の縫い付けラインをしつけ糸で縫いました。
厳密に言うと、裏地をほどいている途中で縫い付けラインが分からなくなるのに気づいて、慌ててしつけ糸でラインを残し始めました。
縫い付けライン(ミシンの縫い目)が残れば、それを目安に新しい裏地を付けることが出来ますが、縫い付けラインが分からなかったら、雑な仕上がりになったと思います。
今回の表地はけば立っているから、ミシンの縫い目が残らなかったんだよね…。はっきり縫い目が分かるような生地だったら、必要ないですね。
難しく考えない!
自分じゃできないって何年も思っていたのですが、何とか自分でお直しができました。
「裏地をはずしたはいいけど、直せなかったらどうしよう」とこわごわやり始めたのですが、意外と綺麗にでき上がった気がします。
要は「付いていた裏地と同じサイズの新しい裏地を裁断して、付け直す」という単純な作業です。
最悪手縫いにでチクチク付けていけばいいのです。
処分するくらいだったら、難しく考えずに、ダメもとで適当にやってみよう!
このコートはあと何年着られるかなぁ…
目指せ!70年!
裏地の衿汚れが気になっていたコートを、ダーニングをしたこともあります。
デザインが凝っていて裏地の取り換えが大変な時や、あまり時間が取れない時は、ダーニングで汚れを目立たなくするという方法もありますね!
コメント
こんにちは。
時々拝見していたのですが、この記事とても興味深かったです。
他人が作ったものをやり直すってとても難しいと思うのですが、素晴らしい出来上がりですね。
説明も画像と文章、親切な注釈で分かりやすかったです。
私はこれまで春夏ブラウス、ワンピースなどしか作ったことがないので、お直しはハードルが高いですが、そのうち裏地つきにも挑戦したいなと思いました。
これからも記事を読むのを楽しみにしています。
まさこ様
こんにちは。
コメントありがとうございます。ありがたいお言葉!とてもうれしいです。
今年は暖冬で、このコートあまり出番がなかったのですが、捨てずにリフォームして良かったと思っています。
私もまさこさんと同じで、あまり冬服の裏地付きを作っていません。春夏専門ソーイング人です。
人生の目標の一つは、カラダぴったりの裏付きのコートを作る事なんですけどね…。
いつかそのうち私も裏地付きの洋服にも挑戦したいと思っています。
お互いのんびりとソーイング楽しみましょう!!